
白寿祝い

いろいろある長寿祝いの中で還暦祝いや古希祝いは古代中国から伝わってきたものです。しかし、77歳=喜寿からの長寿祝いは日本で独自に発生したものが大半。99歳を祝う白寿もその一つとされていますが、実は発祥の時期については正確なことがわかっていません。70歳の古希祝いが行われ出したのが室町時代と推定されていますから、それ以降であることは確か。寿命が伸びるとともに生まれた長寿祝いの一つが白寿というわけです。 なお、九十九という数字は“とても多い”ことを象徴する数字。昔の人の感覚では「百」はこの世という俗世界を超越するほど大きな数字の象徴でした。対して、その百より一つ少ないだけの九十九は、現実世界・俗世間の中でのとても多い数を表していました。たとえばくねくねと折れまがっている山道などを表す「九十九折り(つづらおり)」、また長崎県の「九十九島(くじゅうくしま)」や千葉県の「九十九里浜(くじゅうくりはま)」など。さらに「九十九=つくも」と読めば、地名や人名と耳にしたことのある方が多いことでしょう。つまり「99」とは、それほど大きな意味を持つ数字。長寿祝いとしても堂々たるお歳ということに、どうぞ、心からのお祝いのかたちを考えて差し上げてください。
99歳のお祝いをなぜ「白寿」というのでしょう。答えはその文字にあります。ヒントは、文字の一番上。アラビア数字だと、「100-1=99」ですが…漢数字の「百」の字の場合は、文字から一番上の「一」を取ってしまいます。すると、その文字は?そうです。「白」になりますね。これが「白寿」の理由です。 そしてもう一つ、白寿については、面白い新説があります。白髪の人といえば、誰を思い浮かべるでしょう。といっても白髪だけでは一人の人を思い浮かべるのは難しいでしょうから、白髪に白く長い髭を加えてみてください。そしてそこに奇妙な形の杖を足せば…そう、物語などに出てくる「仙人」ですね。99歳ともなれば、仙人も同然の、俗世間超越したお歳。仙境に住む人の如くに世俗の垢が抜け落ちた年齢ともいえるわけです。だから、仙人の白髪と髭にあやかって「白寿」。これはもちろん、白寿についての謂れを面白おかしく解釈した珍節と言って良いでしょうが、考え方としては面白いですね。 なお、夫婦が仲良く健やかに年をとっていくことを表現するのに「共白髪」という言葉があります。身振り手振をまじえ人前で面白い話をする大衆演芸で、落語のもとともなったといわれる「おとしばなし」の中で出てくる「おまえ百までわしゃ九十九まで、共に白髪の生えるまで」という言い回しが語源のようです。どうやらこれは、江戸時代にはすでに一般庶民の口にのぼっていた言葉のようで、そう考えると、江戸時代にはすでに99歳、100歳というご長寿が長生きの理想としてとらえられていたことがわかります。ですから、もしも、この言葉通りに白寿、さらにそれ以上のご長寿祝いの日をご夫婦で迎えることができたなら、目出度さもこれに極まれり。派手に見えるかもしれない…などとの気遣いも無用に盛大なお祝いをしても、決してオーバーではありません。